半導体装置~基礎知識②(PVD装置)

「PVD装置」とは、「Physical Vapor Deposition(物理気相成長)」装置のことです。これは、物理的な方法で材料を蒸発・蒸着させ、基板上に薄膜を形成する技術で、CVD(化学気相成長)と並んで、主に薄膜の製造に使用されます。

PVDの基本的なプロセス:

  1. 材料の蒸発:ターゲット材料(金属やセラミックスなど)を加熱、またはイオン化して、物理的に蒸発させます。このプロセスは通常、高真空環境で行われます。
  2. 基板への移動:蒸発した材料の粒子が真空中を移動し、基板に到達します。
  3. 薄膜の形成:基板表面に到達した材料が凝縮して、均一な薄膜を形成します。

主なPVDの種類:

  1. スパッタリング (Sputtering): ターゲット材料にイオンを衝突させ、その衝撃で材料を蒸発させて薄膜を形成する方法。
  2. 蒸着 (Evaporation): 熱や電子ビームで材料を蒸発させ、基板に薄膜を形成する方法。
  3. アーク蒸着 (Arc Deposition): 高電流アークを使って材料を蒸発させ、薄膜を生成する方法。

PVD装置の特徴:

  • 環境にやさしい:化学反応を使わないため、有害な副産物が少なく、環境にやさしい技術です。
  • 高密度・高耐久性の膜形成:硬くて耐久性のあるコーティングを作ることができるため、耐摩耗性の向上が必要なツールや部品に利用されます。
  • 多様な材料に適用可能:金属、セラミックス、合金など、さまざまな材料に適用できます。
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